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京急電鉄 三浦COCOONに見るサスティナビリティある街づくりへの可能性 ―ANAウィンドサーフィンワールドカップ横須賀・三浦大会が繋ぐ地域の絆と、疲弊しない賑わい創出のヒント後編―

©京急電鉄


インタビューで国枝氏が語った

― 人や町が疲弊せず、いかに発展させていけるか ―

サスティナビリティある街づくりや観光への可能性を探る

 

ANAウィンドサーフィンワールドカップ横須賀・三浦大会のメインスポンサーでもある、京浜急行電鉄株式会社(以降京急電鉄)について、TABITOでは、観光MaaS《三浦COCOON》に関連した話題をたびたび取り上げてきました。

サスティナビリティのある街づくりと観光に、次世代型移動サービスである、観光MaaSは、活用次第で多くの可能性を拡げると考えているからです。

MaaSとは、「Mobility as a Service」の略称で「サービスとしての移動」、そしてその分野が観光である場合を観光MaaSと捉えます。
公共交通機関を始め、ライドシェア、シェアサイクルといったサービスが、ICT(情報通信技術)を活用してシームレスに結ばれ、一元のサービスとして捉える概念を指します。(※マイカー以外の交通手段による移動)

横須賀・三浦エリアの賑わいの創出について、前出のインタビューで国枝氏が語った、「人や町が疲弊せず、いかに発展させていけるか」ということにおいて、京急電鉄が開発推進する観光MaaSプラットフォーム《三浦COCOON》が、三浦半島を基調とするエリアで、その一役を担っているとTABITOでは考えています。

ここからは、ANA
ウィンドサーフィンワールドカップ横須賀・三浦大会を契機とした賑わいの創出について、三浦COCOONの活用と現在地、そして今後の可能性について検証します。

京急電鉄の観光MaaSは、LEVEL3

現在、京急電鉄の三浦COCOONのMaaSレベルは、LEVEL3の段階に入っています。
MaaSレベルとは、データや機能、その統合度合いを0、1、2、3、4の5段階で分類し 、
レベル0は「統合なし」、
レベル1は「情報の統合」、
レベル2は「予約、決済の統合」、
レベル3は「サービス提供の統合」
レベル4は「政策の統合」、
と定義されています。 京急COCOONのMaaSレベルは「サービスの統合」の段階に位置し、具体的には地域とのパッケージ商品や、サブスク等への発展まで進んでいることを表しています。

©京急電鉄

それでは、三浦COCOONの具体的なコンテンツについて確認しておきましょう。

京急沿線を起点に広がるネットワーク、COCOONファミリー

まずは、三浦COCOONが含まれる、COCOONの全体像を確認します。
現在COCOONは、5つのエリアで京急電鉄沿線を軸に拡がっています。
■三浦COCOON
■かなざわCOCOON
■横浜COCOON
■川崎COCOON
■おおたCOCOON

COCOONが初めにスタートした地域が三浦エリアで、2020年10月22日が公式な開始日です。
3年余りで、京急沿線にこれだけの普及し、更に拡大を続けていることは、京急電鉄のMaaSレベルの引き上げ以上に興味深い点です。

京急COCOONサイト内のMAPで、COCOONファミリーの情報を確認することが出来ます。

加盟店は多彩なジャンル。COCOONファミリー

三浦半島地域の観光事業者や自治体、サポート企業等が、半島全体でゆるやかに連携して、健康コンテンツの開発を通じた「すごしかた」提案に取り組む地域活性化コミュニティ ― それがCOCOONファミリー。
グルメや宿泊に関する施設はもちろん、乗馬や馬とのふれあい体験を提供する施設や、陶器の製作・販売や陶芸教室を開講する陶工房、江戸時代から続く伝統技法で大漁旗や飾り旗を染め上げる染物店など、多彩なメンバーで三浦の魅力を伝えてくれます。

©京急電鉄


三浦COCOONのコンテンツ情報を確認して、改めて驚いたのがモビリティジャンルの豊富さです。
なんと、コンテンツは18に及ぶ充実ぶり。(2023年11月現在)
これがMaaS本来の期待される機能でもあるわけですが、異なる内容のモビリティ関連がこれだけ揃うのは、とても興味深い点です。
三浦半島をエコでスローな時間を楽しめる。素敵なことではないでしょうか?

超小型BEVカー「my-mo(ミューモ)」 ©京急電鉄

 ©京急電鉄

電動アシスト付き自転車で三浦をサイクリング ©京急電鉄

その他の三浦COCOONのモビリティについて見てみる (京急電鉄 三浦COCOONサイトに移動します)

 

地域観光コンテンツを共同で開発 ー 三浦半島の地で、ゆるやかな地域連携が力を発揮する地盤が培われている

地域の事業者同士で連携したセットプランづくりや、新しい体験プランなどをファミリーで一緒に作り上げるそうです。
三浦半島の観光の魅力アップを目指し、様々な角度から強みが生まれる仕組みが培われています。
地域観光コンテンツの共同開発は、TABITO注目のポイントです。

©京急電鉄

 

ANAウィンドサーフィンワールドカップ横須賀・三浦大会での三浦COCOON活用が、地域の絆と賑わい創出に相乗効果をもたらす

さてここで、TABITOから京急電鉄に質問し、回答を得た内容についてをご紹介します。TABITO’s Viewとして、TABITO独自の見解も加えさせていただきました。

MaaSに関する担当部署(エリアマネジメント推進担当)から得た回答は下記の通りです。

1)ワールドカップによる貴社独自の人流データを基にした賑わいの創出について、御取組みはございますか。

回答
→ワールドカップにおける海上観覧船(運行:㈱トライアングル)の予約を当社が展開するMaaS/地域情報サイト三浦COCOONにて受け付けました。
無料会員登録をしていただいた上でご予約を受付しておりますので、今回の参加者傾向・属性等含めて今後の施策検討に繋げて参ります。
また、三浦COCOONサイト内には、三浦半島各エリアの地域事業者の方が営まれている魅力溢れる観光情報、地域情報、アクティビティ情報も掲載しておりますので、ウインドサーフィンを目的に来訪された方がサイト内にて周辺エリアの情報を取得し、「ついで消費」や「立ち寄り機会の創出」を促し、日帰りの方が多く、1回の来訪あたりの観光消費額が比較的低い三浦半島にて「滞在時間の増加」や「観光消費額増加」を図かれるよう取り組みを推進しております。

 

TABITO’s View
今回(2023年)のANAウィンドサーフィンワールドカップ横須賀・三浦大会の5日間の来訪者は、
→来場者数は32,000人
→オンライン視聴数は96,000人
合計128,000人に及びました。
※横須賀市回答

オンライン視聴者数から見ても、潜在的な観光流入には、十分に伸びしろがあります。
また、ドローンを介した迫力あるレースの映像は、ウィンドサーフィンという特殊な環境下で繰り広げられるスポーツの魅力を伝えるのに十分なツールとしてファンを増やすのではないでしょうか。
ウィンドサーフィンワールドカップ横須賀・三浦大会の観戦者や、ウィンドサーフィンそのもののファン層は着実に増えていくことは想像に難くないのです。
自治体やメインスポンサーであるANAや京急電鉄はじめ、地域の事業者やボランティアスタッフまで、まさに地域が力を合わせて作り上げる大規模なスポーツ大会に成長しています。
今後、横須賀市の中心地などにもワールドカップの観光流入を拡大させる上でも、MaaSを活用した人流の予測と誘導は、三浦COCOONの活用が有効と言えるでしょう。


2)大会期間中、何か三浦COCOONの活用はございますか?

回答
→海上観覧船(運行:㈱トライアングル)の予約受け付け
→周辺地域情報含めた情報発信(大会期間中以外にも常時発信)
→三浦半島来訪者向けのおトクなきっぷのデジタルきっぷ販売(大会期間中以外にも常時販売)
周辺エリアの二次交通の情報掲載
三浦海岸までの経路検索機能(シェアサイクル等も経路検索結果に反映)

TABITO’s View
マイカー以外のさまざまな移動手段を一元管理できることが、次世代型移動サービスのシステム、MaaS本来の機能として期待されている中で、二次交通の情報掲載や、三浦海岸までの経路検索機能といった、COCOON内で、移動手段のプラットフォームがすでに整備されているとなれば、エコで環境に優しい観光が実現され、より発展していきます。
そして、ゆったりと三浦半島の観光周遊を楽しむ旅行者が増えれば、日帰りから、宿泊を伴うツーリズムへも発展していく期待値が高くなる。
まさにサスティナブルツーリズムが培われる土台としても、三浦COCOONはすでに大きな役割を果たしているのです。


3)ワールドカップ期間中の、鉄道、バスの乗降者数など、公開されている数値があればご教授ください。

回答
期間中のみのデータは公開しておりません。

4)ワールドカップ期間の人流データ(人流の変化)を、今後どのように活かせるでしょうか。

回答
来訪者の属性などをもとに周辺エリアでどのような施策を実施すれば相互誘客に繋がるかや、効果的な情報発信媒体の把握に繋げたいと考えております。 また、周辺地域のモビリティ整備も進め、駅を起点に会場アクセスや周辺エリアの回遊性向上につながるよう、二次交通の整備にもつなげたいと考えております。 今後も、地域事業者さま等の取り組みと幅広く連携させていただき、三浦COCOONサイト内での告知の連携や地域の事業者さま間のハブ的な役割を当社が担っていくことで、地域の皆さまともに事業の共創活動を推進し、沿線価値向上に取り組んで参ります。

TABITO’s View
COCOONファミリーの取り組みや、COCOON(観光MaaS)の機能は、地域資源を活かした賑わいづくり、新しい観光創生のすでに基盤となっている。

そして、TABITOが最も注目している点は、インバウンド旅行者が、ANAウィンドサーフィンワールドカップ横須賀・三浦大会を介して、着実に拡大していくであろう点です。
三浦半島周辺の海という観光資源は、ウィンドサーフィンに限らず、長い期間によって培われていることは言うまでもありませんが、新しいワールドカップがもたらす効果にも大きな期待が持てます。データを活用した様々な予測とアクションにも有益です。
ウィンドサーフィンのワールドカップで訪れる選手やその関係者含め、ゆうに100名以上の海外からの旅行者が5日以上の滞在(多くがそれ2週間から1か月の長期滞在者だといいます)があれば、その情報を基に、横須賀・三浦エリアはもとより、国内のどのようなスポットに赴くかなど、観光トレンドのデータベースに反映させえることが出来るだけでなく、ワールドカップ以外の1年を通じた、ネイチャースポーツや、スポーツツーリズムによる賑わいの創生にも応用できるでしょう。

じっくりと街の賑わいや地域資源の利活用がこのような地域基盤に密接に浸透する上で、三浦COCOONのさらなる発展と地域への浸透、そしてANAウィンドサーフィンワールドカップ横須賀・三浦大会のような地域連携をより深める要素という点において、今後もTABITOでは、関心を持って見つめていきたいと思います。

記事:盛島さつき


取材協力・情報提供 
京浜急行電鉄株式会社 https://www.keikyu.co.jp/
横須賀市 https://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/

京浜急行株式会社の観光MaaS COCOONについて https://cocoonfamily.jp/

前編記事(プロウィンドサーファー国枝信哉氏インタビュー記事)

プロウィンドサーファー国枝信哉氏インタビュー ―ANAウィンドサーフィンワールドカップ横須賀・三浦大会が繋ぐ地域の絆と、疲弊しない賑わい創出のヒント前編―
2017年に初開催され、今年で5回目となった、ANAウィンドサーフィンのワールドカップ横須賀・三浦大会が、2023年の11月10日から14日の5日間、津久井浜海岸(横須賀市)と三浦海岸(三浦市)で行われま...

ANAウィンドサーフィンワールドカップ横須賀・三浦大会に関するお問合せ窓口

ANAウィンドサーフィンワールドカップ横須賀・三浦大会に関するお問合せは下記までお願い致します。
横須賀市:文化スポーツ観光部企画課

横須賀市小川町11番地 本館1号館4階<郵便物:「〒238-8550 企画課」で届きます>
電話番号:046-822-8110
ファクス:046-824-3277

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