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プロウィンドサーファー国枝信哉氏インタビュー ―ANAウィンドサーフィンワールドカップ横須賀・三浦大会が繋ぐ地域の絆と、疲弊しない賑わい創出のヒント前編―

2017年に初開催され、今年で5回目となった、ANAウィンドサーフィンのワールドカップ横須賀・三浦大会が、2023年の1110日から14日の5日間、津久井浜海岸(横須賀市)と三浦海岸(三浦市)で行われました。

©ANAウインドサーフィンワルドカップ横須賀・三浦大会実行委員会

ドローンを介しYOUTUBEの画面上に送り込まれるレースのライブ映像は、息を飲む迫力とスピード感で、観る人をくぎ付けにしました。
大会は5日間の開催で、来場者数32,000人、オンライン視聴数96,000人、合計128,000の結果を導き、幕を閉じました。(横須賀市集計)
津久井浜海岸大会会場前の駐車場は、下浦第3駐車場から、ウインドサーフィンW杯記念駐車場と名称を変更するなど、今ではワールドカップゆかりの地として、市民に親しまれています。
また、大会の関連事業として大会初日に三浦市で開催された「三浦海岸ウインター花火フェス2023」は、打ち上げ数約3,000発、来場者数3万人(三浦市観光協会集計)と盛大に執り行われました。
ANAウィンドサーフィンワールドカップ横須賀・三浦大会は、まさに地域が力を合わせて作り上げる、大規模なスポーツツーリズムに成長しています。

「三浦海岸ウインター花火フェス2023」©三浦市観光協会

津久井浜海岸と三浦海岸にワールドカップが誘致されて約6年。国枝信哉氏インタビューから、ウィンドサーフィンが新たな風を生み、スポーツツーリズムの文化と、地域に根差した取り組みが育まれるそのプロセスを、紐解きます。

プロウィンドサーファー国枝信哉氏インタビュー ―ANAウィンドサーフィンワールドカップ横須賀・三浦大会が繋ぐ地域の絆と、疲弊しない賑わい創出のヒント― (前編)

記事:盛島さつき

 



「どうぞ、入って大丈夫ですよ。遠慮しないで!」

大会初日。顔合わせ早々、気さくにそう言ってくださったのは、日本のウィンドサーフィン界を長く牽引する国枝信哉氏。ANAウィンドサーフィンワールドカップ横須賀・三浦大会の出場選手という立場と同時に、ここ横須賀・三浦にワールドカップ誘致から、主軸となり尽力する、まさに大会を支える人物の一人です。

選手テントの前に広げられたブルーシートには、白い砂とウィンドサーフィンの機材が一面に広がっています。そこに足を踏み込むことをためらっている私に向けてくれた言葉でした。

横たわる大きなセイルとセイルの間を縫って、国枝氏の近くまで歩み寄ると、国枝氏はかけていたアームチェアから立ち上がり、少し腰をかがめてテントの中から顔を覗かせました。
そして、「よろしくお願いします。遠慮しないでいいですよ。」と、改めて笑顔で迎えてくれたのでした。


ワールドカップの大会初日とは思えない、なんとフランクで優しい雰囲気だろうか。
取材するこちらの方が、緊張を解かれる瞬間でした。

津久井浜にウィンドサーフィンワールドカップが誘致され、コロナ禍のブランクを合わせて、6年目の今年(2023年)。大会のレースの合間を縫って、ワールドカップの立ち上げの経緯や、国枝氏の取り組みについて、お話を伺いました。

― まず初めに、横須賀・三浦市にワールドカップが招致された経緯からお願いします。

2017年に第一回目がスタートしました。その前から※WWCを開催する為に、※JWAとして様々なスポンサー集め活動などを行なっていましたが、2016年にANAパイロット藤本様からANA内のバーチャルハリウッドという取り組みでWWCを開催してみたいと相談を受け、当初から関係が深かった横須賀市を紹介しました。そこから、京急電鉄様、三浦市と関係がふかまりました。

― ありがとうございます。それでは、国枝さんについて教えていただけますか。ウィンドサーフィンを始められたきっかけはなんだったのでしょうか?自然とウィンドサーフィンができるような環境でしたか?

僕はそんなことないです。

ウィンドサーフィンをやろうと思ったきっかけは、幼いころ、父親が会社の保養所を利用して、連れてきてくれた、葉山の森戸海岸です。そこで風に乗って走るウィンドサーフィンの景色が、何とも気持ちよさそうで、「ああ、やってみたいなぁ」。そう思ったのが最初のきっかけです。

でも僕は転勤族の家庭に育ったというのもあって、様々な土地に移り住んだんです。だからウィンドサーフィンを始められたのは、ずっと後のこと。大学生になってからです。

― ウィンドサーフィンとは、海が身近にある人が出来る、特殊なスポーツという印象がありました。

思われがちですが、そうでもないですよ。今回女子スラロームに出場している須長由季選手も、僕同様、大学で始めています。あと、ウィンドサーフィンは、高価なイメージもあるかもしれません。でも実際にはウィンドサーフィンを始める入口は、それほどお金をかけなくても出来るんです。
スクールなど環境もいまはだいぶ整っているので、案外始めやすいのではないかな。ただ、どんなこともそうだと思うのだけど、うまくなるため、また長年続けていこうと思えば、やはりいい道具を選ぶ。そういうことが必要になってきます。レベルに応じて、道具もグレードアップしますよね。どこに価値を置くかなんだと思います。

― 確かにスポーツに限らず、楽器や道具でも同じことがいえますね。若手の育成については、いかがですか?

僕はTEARSというスクールをここ(津久井浜)で行っています。先ほども名前が挙がった須長には、横須賀ウインドサーフィンアカデミーという、横須賀市内の小学5、6年生を対象とした、将来オリンピックやワールドカップで活躍する選手の育成事業の理事長をやってもらっています。

後進育成はとても大切です。ここ津久井浜からオリンピック選手を輩出することを目標に取り組んでいますが、着実にこれまでの努力が結果にも繋がってきています。

また、地元の小学校に、ウィンドサーフィンの体験会のチラシを配布したりすると、毎回参加者が集まるようになりました。

ウィンドサーフィンがこの場所に認知され、だいぶ地元に根付いていてきたのを感じています。


― ワールドカップが誘致されて、何か地域に変化は起こりましたか?

横須賀や三浦の海というのは、漁場でもあるので、以前は、ウィンドサーフィンをやっていると、なかなか受け入れてもらえないこともありました。
それが、ワールドカップが開催されることで、地域の協力や連携の絆が芽生え、漁をされる方々との関係にも、変化が生まれました。
「(ワールドカップ)あるんだって?頑張ってよ。」と声をかけてもらえるようになったのは、ありがたいですよね。
これだけ大きなイベントですから、ボランティアさん含めて、多くの人がこの大会に関わってくださっています。
街の賑わい創出に貢献できるよう、盛り上げていきたいという思いがより強くなりました。

 

― ワールドカップを盛り上げるために、将来的なビジョンもありますか?

多くの方々に支えられて開催できているのは、本当にありがたいことです。今後は、よりご恩返しが出来たらいいなと思っています。街の活性化に貢献出来たら嬉しいです。

例えば、横須賀の駅周辺など、街にも人が多く流れたらいいと思うんです。

ただ、ワールドカップを毎年開催するというのは、並大抵のことではありません。なんでもそうですが、立ち上げることはできます。それをいかに継続していくか。人や町が疲弊せず、発展させていけるか。それを常に考えているところです。


― ウィンドサーフィンの魅力を教えていただけますか?

ウインドサーフィンは風の力、波の力のみで、水上を自由自在に動き回れるスポーツです。
海上をゆっくり散歩したり、風が強くなればなるほどスピードが出て来ます。
普段では味わえないような、風に寄りかかる感覚、足の裏から伝わってくる水面の感覚があります。
忙しい生活を送る方々が何もかも忘れて、その感覚に引き込まれて行く事が多々あります。

 

―(ブログなど拝見して)、国枝さんが日ごろから仲間を大切していることを強く感じます。ウィンドサーフィンを行うことで、仲間との連帯が生まれるのでしょうか?

海という自然は、その時々で様々な状況に変化します。ウインドサーフィンは個人スポーツではありますが、仲間と一緒にやる事で、安全であり。そして、厳しい挑戦するようなコンディションにおいても仲間がいる事によって、乗り越えることができます。

ウインドサーフィンを通じて出来た人間関係は特別なものです。


― 最後の質問になります。来年の抱負や、プランはありますか?

年が明けたら、オリンピックの選考会があります。須長が出たいと言っているので、そうなると僕はコーチとしてオリンピックに帯同することになります。



PWC・・・Professional Windsurfers Association
WWC
・・・ウィンドサーフィンワールドカップ
JWA
・・・日本ウィンドサーフィン協会

横須賀ウインドサーフィンアカデミーについて
津久井浜で、プロ選手や一般の方々がボランティアで一緒に取り組まれる事業。毎週土曜にスクールを開催。https://yokosuka-wsf.com/

ANA
ウィンドサーフィンワールドカップ横須賀・三浦大会とは
PWA(Professional Windsurfers Association)公認の世界最高峰の大会で、世界のトッププロが約10か国を年間にわたり転戦するワールドツアー。日本では2017年以降、毎年開催(2020年、2021年は中止)、2023年の今大会は5回目の実施にあたる。

 

プロフィール 国枝信哉

 入社1年目で会社を辞め、どうしてもウインドサーフィンの道に進みたくて、葉山に移住。人にウインドサーフィンの素晴らしさを伝えたくティアーズウインドサーフィンショップを経営し、ウインドサーフィンを追求したく、世界の大会なども出場し、プロウインドサーファーとなる。
現在はオリンピックを目指す選手のコーチなども行っています。東京で生まれ、父親の転勤により、2歳から6歳までアメリカで過ごす。小学校は調布市、中学は横浜の日吉、高校と大学は川崎の新百合ヶ丘に居住。プロウインドサーファー/JWA理事

TEARS情報》
https://www.tears-windsurfing.com/source/staff/index.html
239-0843 神奈川県横須賀市津久井1丁目211
電話: 046-840-1273

TABITO ANAウィンドサーフィンワールドカップ横須賀・三浦 メインページ》

<2023>ANAウィンドサーフィンワールドカップ横須賀・三浦大会特集 メインページ(随時更新)
当ページは、2023年のANAウィンドサーフィンワールドカップ横須賀・三浦大会のレポート及びウィンドサーフィンに関する内容を、随時更新してご案内しております。 2024.7.10更新 2024.7.1更新 iQFOiL...

ANAウィンドサーフィンワールドカップ横須賀・三浦 公式サイト》

https://windsurfing-wc.jp/

取材協力、情報提供 
ANAウィンドサーフィンワールドカップ横須賀・三浦大会実行委員会
横須賀市
三浦市観光協会
京浜急行電鉄株式会社

ANAウィンドサーフィンワールドカップ横須賀・三浦大会に関するお問合せについて

ANAウィンドサーフィンワールドカップ横須賀・三浦大会に関するお問合せは、横須賀市までお願い致します。

横須賀市 文化スポーツ観光部企画課
横須賀市小川町11番地 本館1号館4階<郵便物:「〒238-8550 企画課」で届きます>
電話番号:046-822-8110
ファクス:046-824-3277


TABITO’s view サスティナビリティある街づくりへの可能性

 

インタビューで国枝氏が語った

― 人や町を疲弊せず、いかに発展させていけるか ―

サスティナビリティある街づくりや観光への可能性を探る

―ANAウィンドサーフィンワールドカップ横須賀・三浦大会が繋ぐ地域の絆と、疲弊しない賑わい創出のヒント後編―

ANAウィンドサーフィンワールドカップ横須賀・三浦大会のメインスポンサーでもある、京浜急行電鉄株式会社(以降京急電鉄)について、TABITOでは、観光MaaS《三浦COCOON》に関連した話題をたびたび取り上げてきました。
サスティナビリティのある街づくりと観光に、次世代型移動サービスである、観光MaaSは、活用次第で多くの可能性を拡げると考えているからです。
観光MaaSとは、「Mobility as a Service」の略称で「サービスとしての移動」、その分野が観光である場合を指します。 公共交通機関を始め、ライドシェア、シェアサイクルといったサービスが、ICT(情報通信技術)を活用してシームレスに結ばれ、一元のサービスとして捉える概念を指します。※マイカー以外の交通手段による移動

横須賀・三浦エリアの賑わいの創出について、インタビューで国枝氏が語った、「人や町が疲弊せず、いかに発展させていけるか」ということにおいて、京急電鉄が開発推進する観光MaaSプラットフォームである、《三浦COCOON》が、その一役を担っているとTABITOでは考えています。
ANA
ウィンドサーフィンワールドカップ横須賀・三浦大会を契機とした賑わいの創出について、現状の三浦COCOONの活用と今後の可能性について、後編記事で検証します。

後編記事
https://tabitojapan.com/keikyu-miuracocoon-anawindsurfing-worldcup-yokosuka-miura/

 

 

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