ラグビー岩下丈一郎選手のインタビュー後編
4チーム目加入を目指す岩下丈一郎の”今”に密着。
NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25のシーズン入りを前に、2024年秋に公開したジョーこと岩下丈一郎選手(当時三菱重工相模原ダイナボアーズ所属)のTABITO Japanインタビュー(前編)に続き、シーズン明けにも、後編のインタビューも撮る予定だった。
そんなジョーの活躍を信じて疑わなかった2024-25シーズンは、結果的には ディビジョン1第4節のコベルコ神戸スティーラーズ戦での1試合の出場にとどまり、思うような結果を残せないままシーズンを終えた。
そしてシーズン終了間際に三菱重工相模原ダイナボアーズから公式発表された退団選手リストには、ジョーの名前が記されていた。
※今シーズン限りでダイナボアーズを去ることになった選手は、ジョーを含めて20名にのぼる。その中には、安江 祥光選手や、石田 一貴選手、カートリ―アレンゼ選手(サバティカル終了による)らの名前も含まれていた。
この経緯から、予定していたインタビュー記事後編の趣旨を変更し、「ジョーの今」を追うことに。トレーニング機会にも立ち会い、取材した内容を以下にまとめた。
来シーズン(2025-2026)も100%ラグビー現役を望む 4チーム目加入を目指す岩下丈一郎の今
-岩下さん、今日はどうぞよろしくお願い致します。正直、このような形でのインタビューになるとは思っていませんでした。まずは率直なお気持ちを聞かせいただけますか?
ジョー:シーズン中のコンディションは決して悪いものではなかったですが、出場の機会を得られない以上、結果には繋がりません。それも含めてのプロなので、その現実を受け止めています。
-ケガがあったとか、そういうことではないんですね?
ジョー:はい。ケガはなかったです。どちらかというと、身体は動けていたと思いますし、そういう意味では、このままでは終わらせたくない、という気持ちが強いです。
-ということは、次のチームを探しているということでよろしいでしょうか。
ジョー:そうです。エージェントを介して、次の所属先を探しています。
-そうですか。ラグビー継続の意思があることがわかってよかったです。ファンの方にとってもラグビーを辞めない意思が聞けたのは嬉しいところですね。ファンの方といえば、ダイナメイトの皆さん、試合はもちろんですが、地元相模原で行われるイベントにも、いつも多くの方が応援に駆けつけてましたよね。
ジョー:ダイナボアーズは、選手と応援くださるファンの方々との距離がものすごく近いチームだと思いますね。
-それは、選手にとって励みになりますか?
ジョー;はい、とても励みになります。リーグワンの中でも、こんなに熱い応援をしてくれるのは、ダイナボアーズが一番なんじゃないかって、思います。
自分の名前を覚えてもらえるようになったのもそうですし、ダイナボアーズに入ったからこそ得られた経験は多かったです。
-岩下さんにとってダイナボアーズとはどんな場所でしたか?
ジョー:僕はダイナボアーズに入る前に、2度もラグビーができない状況になりました。辞めても仕方ないところ、ダイナボアーズが拾ってくれて、言わば、瀕死の魚に水を与えてくれた場所です。
ラグビーができる喜びもそうですし、そこで出会えた人たちや、一緒にラグビーが出来た仲間がいるというのは、やはり特別に思っています。
-今回岩下さんと同じように退団された石田一貴(FB)さんは、学生時代も一緒にラグビーをされた仲だそうですね。いつの時代でしょうか?
ジョー:高校です。石田カズは、九州学院高校の1年上の先輩です。全国大会に出場した時も一緒でしたが、まさかプロになってまた同じチームでラグビーができるなんて、僕らもそうですが、周りも思っていなかったと思います。
-ダイナボアーズでの3年間を振り返って、印象に残っている試合はいかがでしょうか。
ジョー:やはり、ダイナボアーズに入って、初めて出場した試合はとても印象に残っています。
その試合は結果的には負けてしまいましたが、試合前半にトライを決めた他、逆転された後半にも、インゴールを決めて、再逆転しました。あの試合があって、その後も試合に出させてもらえるようになりました。
NTTリーグワン2023-24 D1 第6節レポート(相模原DB 34-36 東京SG)引用:https://league-one.jp/news/2869
岩下は最初のトライを演出すると、さらに佐藤弘樹がランで3人をかわしてトライを奪う。今季初出場の二人が前半の相模原DBの攻撃に勢いをもたらし、一時は29点差をつけた。しかし、その後は守勢に回り、風下の後半、東京SGに逆転を許してしまう。それでも、相模原DBは食い下がった。
劣勢だった相模原DBボールのスクラムで、この試合初めて東京SGのペナルティを引き出すと、ゴールライン間際の攻防で圧力を掛けて左サイドに展開。ボールを受けた岩下が二人を振り切り、インゴールに飛び込む。後半33分の再逆転劇だった。
-2023-2024の前シーズンは何試合出場されましたか。
ジョー:6試合だったと思います。(※7試合)
-もっと出場したいという気持ちもありましたか?
ジョー:そうですね。いい流れがつかめて、こうすればチームに貢献できる、という自分の動き方も分かってきていたので、それを今シーズンで活かしたかったというのはありました。
-そうすると、フラストレーションもあるというのが正直なところじゃないですか?もっと自分のラグビーを体現したい、という思いがきっとありますよね。
ジョー:そうですね。いろいろ他の道を考えるところもありましたが、このままじゃ終われないという気持ちがあって、次のチームが見つかったら、4チームになるわけですが、ここまで来たら、プロにこだわらなくても、今までと契約の形が変わったとしても、とにかくラグビー選手を続行したいと思っています。
-何パーセントラグビーで行こうと思っていますか。
ジョー:100%ラグビーを続けたい。そう思っています。
この日は某所のジムで、ジョーが日常的に行っているトレーニングにも密着した。
- 今日トレーニング風景も取材させていただけるとのこと、ありがとうございます。
ジョー:だいたいストレッチの時間を30分は取るようにしていて、そこからその日決めた部位を集中的に鍛えています。今日は背中の日です。
-トレーニングを行う上で、この時期意識していることとかありますか。
ジョー:この時期は、筋肥大を意識したトレーニングを行っています。
-身体を休めるために、緩めにトレーニングするとかじゃなくて、その逆なんですか?
ジョー:あえて負荷をかけたりする感じですね。セット数を増やして、少し長めにワークアウトをこなしたりします。
※下記YOUTUBEリンクにて、ジョーのトレーニング風景をまとめています。
岩下丈一郎選手のプロフィール
1996年11月17日(28歳)生 熊本県熊本市出身
身長 1.74 m (5 ft 8+1⁄2 in)
体重 89 kg (14 st 0 lb)
学校 九州学院高校
大学 関東学院大学
愛称 ジョー
小・中学生では野球に打ち込む。(主なポジションはキャッチャーだった)
熊本県内屈指の進学校であり、スポーツでも名門の九州学院高校高校に入学、ラグビー部に入部。
前編のTABITOインタビューでは、ラグビー部を選んだ理由に、父親の影響であることを語っている。
高校2年生で全国大会に出場。この年の全国大会出場が九州学院高校の初出場である。
当時のポジションはスタンドオフ(SO)。
高校での岩下の戦績は、5試合出場、5得点。
関東学院大学に進学し、大学2年でSOから、現在のポジションセンター(CTB)に移った。
大学ラグビーの実績は、24試合出場、20得点。
大学3年時に、コカ・コーラレッドスパークスのスカウトマンに声をかけられ、卒業後は、コカ・コーラレッドスパークスに加入する。(2019-2021コカ・コーラレッドスパークス)
コカ・コーラレッドスパークスの休部により、2021年に宗像サニックスブルース(2021-2022)に加入。2022年に宗像サニックスブルース休部、同年三菱重工相模原ダイナボアーズ(2022-2025)に加入。
ダイナボアーズの3年間でトータル8試合出場10得点。
TABITO Japanでは、セカンドキャリアサポートや企業とのタイアップなど、アスリートの後方支援を目的とした、スポーツ・ウェルネスの事業をスタートしました。
地域に根差した活動はもちろん、アスリートの次のキャリアや継続的な支援につながる情報発信を主体的に行って参ります。

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