エシカル・サスティナブル最新記事特集白馬村周辺

ー白馬ならではの魅力と独自性で実現目指す「世界水準のオールシーズン型マウンテンリゾート」白馬村ーVol.1 インバウンド需要が後押し交通改善

2024年からいよいよ始まりました『訪れる人にも、受け入れる人や環境にも優しい、サスティナブルツーリズム・全国の取り組み』についての継続記事発信。
TABITO
独自の視点とサスティナブルツーリズムが育まれるプロセスを丁寧に現地取材し、継続的なご紹介を行ってまいります。

2023年は、神奈川県で開催された、ANAウィンドサーフィンワールドカップ横須賀・三浦大会の話題から紐解く、地域の連携や発展についてご紹介いたしました。(プロウィンドサーファー国枝信哉氏インタビュー/京急MaaS・三浦COCOON
そして、いよいよ2024年の第1弾は、白馬村の大自然の魅力や観光資源を活かし、産官学民の地域一体となったサスティナブルな取り組みを独自路線で打ち出した「世界水準のオールシーズン型マウンテンリゾート」にまい進する白馬村について、四季折々の魅力を1年を通じ詳しくレポートしていきたいと思います。

記事:盛島さつき

ー白馬ならではの魅力と独自性で実現目指す
「世界水準のオールシーズン型マウンテンリゾート」白馬村ー
Vol.1
インバウンド需要が後押し交通改善

 

白馬村と言えば、1998年開催の長野オリンピックの舞台(競技場は、長野市、白馬村、山ノ内町、軽井沢町、野沢温泉村に配置)となったことでも有名ですが、その上質な雪質は『Hakuba Snow』の愛称で多くの外国人旅行者を魅了しています。今や、全国屈指のウィンターシーズンの観光地として、白馬ブランドを確立しました。

白馬八方尾根スキー場

白馬八方尾根スキー場

ゲレンデが開く時期ともなれば、国内旅行者はもちろん、世界各地から訪れるインバウンド旅行者で賑わい、白馬村周辺は活気にあふれます。
駅やバスの乗り合い所、飲食店にスキー場周辺のスタッフは、英語を中心とした外国語で、インバウンド旅行者に対応します。
何か困っているような外国人旅行者がいると、スタッフ側から率先してコミュニケーションをとる。そんな光景を多く見ることができました。
ほほえましいのは、旅行者と白馬村の人の何気ないやり取りの中にも、双方に笑顔があることです。
「外国人旅行者への対応に慣れている。」ということもあるのかもしれませんが、白馬村の賑わいや快活な雰囲気は、旅行者だけでなく、地域が率先して創り出しているように感じられるのです。

スキー観光のオンシーズンにいよいよ突入する、というタイミングもあり、初の白馬村取材の3日間は、取材した筆者にとっても、大らかで幸福感に満ちた時間となりました。

サスティナビリティある観光とは、受け入れる場所や人に境界線を作らず、むしろ互換性のあるものと、TABITOでは捉えています。
このような考えのもと、TABITO独自の調査で、全国えりすぐりのサスティナブルツーリズムに繋がる実例をピックアップし、長期視点に立って、詳しくご紹介していく予定です。
その1つが長野県白馬村ということです。

観光MaaSがどのように、観光や暮らしに定着していくか。TABITOの観光情報サイトのメインフレームの一つである、MaaS(中でも観光MaaS)による交通改善の実例などを取り上げようと、全国で実施されている取り組み調べていたろころ、白馬村に行きついたのです。

白馬岩岳マウンテンリゾート

かねてより白馬岩岳マウンテンリゾートの取材を希望していたことや、読者の方からのリクエストにも、白馬村の名前が上がっていたこともあり、今回、ナイトデマンドタクシーの話題を切り口に、白馬村周辺の観光情報について継続的な発信を前提に、白馬村の観光について、調べるようになったのです。
そんな白馬村についてですが、ナイトデマンドタクシーの話題において、まず初めに驚いたのは、その利用者数です。
2022
年冬季期間中(約70日間)に行われた実証実験では、累計12000人が利用したというのです。

かき入れ時のウィンターシーズンとはいえ、実施日数を集約すると約2か月という短い期間に、累計数12000人が利用したということは、約9000人の白馬村の人口を考えても、高い利用率と判断できます。
白馬村役場による発表:令和61月 9,159

参考:
昨冬に白馬村が運行したAIオンデマンド乗合タクシー「白馬ナイトデマンドタクシー(HND)」は多くの観光客や地域住民が利用し、約70日間の運行期間で、アプリ登録者数は3,939人(うち外国人2,875人)、累計乗車人数は12,000人に達しました。また、高い運行効率(相乗り率 73%)とサービス満足度(91%が星5つの評価)を記録し、冬の観光の足として、白馬村の賑わいに大きく貢献いたしました。
こうした成果を踏まえ、グリーンシーズンのAIオンデマンド乗合タクシー(名称:白馬夏のデマンドタクシー)の運行が決まりました。(SWAT Mobility Japan株式会社 2023年6月29日PR Times発行プレスリリースより転載)

「実際に利用してもらう。」ことや、「導入した技術やサービスがいかに定着するか。」
これらが、容易でないことをTABITOは理解しています。
MaaS
アプリの使いやすさや人流予測といった技術的な下支えがあり、そこに村全体の周知や連携の工夫がなされたことで、高い乗車率の結果に繋がったのではないかとTABITOは予想しました。

それでは実際に、どのような方法で、約12000人の利用者数を獲得し、実用化へつながったのか。
今回記事と、2月中旬公開予定 SWAT Mobility Japan株式会社開発のMaaSアプリ紹介記事にて検証していきます。

関連記事 (白馬村紹介のプロローグともいうべき、ナイトデマンドタクシー出発式の模様について。202312月)

産官学連携の共創事業体チャレンジ白馬による白馬MaaSプロジェクト「白馬ナイトデマンドタクシー(HND)」がいよいよ本格運行。
産官学連携で観光や地域の課題に取り組み、昨年の実証実験でも2000人を超える利用者で実用化に大きな成果を上げ話題となった、白馬MaaSプロジェクト「白馬ナイトデマンドタクシー」が、この冬本格運行となり、2023年12月18日に、出発...

市町村と県内外企業との多様なオープンイノベーションを推進『チャレンジナガノ!』が白馬村ナイトデマンドタクシーを実現

Q…TABITO質問 A)…白馬村観光課回答

そもそもナイトデマンドタクシーの実用化は、産官学民の共創事業体「チャレンジ白馬」によって、「HAKUBA DO」(住民・観光客向けプラットフォームアプリ)を観光客や地域住民に提供することで、これまで白馬村の課題となっていたタクシー不足の解消や、地域内の回遊促進、産業振興の推進など、オーバーツーリズムの解決と地域住民の満足度向上を目指す取り組みとして、全国から注目を集めました。

なお、202312月中旬から始まった本格運行(ナイトデマンドタクシーの実用化)では、実証実験での結果に基づき浮き彫りになった、観光客の移動ニーズのその先にある課題(レストランの予約が取れない、宿泊施設のスタッフが予約対応に追われる等)を解決するため、レストラン予約サービス(TableCheck)との連携といった、利便性や地域活性化に有効な取り組みが同時進行で行われました。

Q)まず初めに、ナイトデマンドタクシーの実用化に至った経緯をお教えいただけますか?

A)この事業は、地域の課題解決のために令和3年度の長野県新規事業である「チャレンジナガノ」に応募し、地域外企業とのマッチングによる新規事業創出の機会が得られ、令和4年度より新しい取組をスタートした事業です。

「チャレンジナガノ!」とは、長野県内の豊富な地域資源や多様な課題が存在する状況を好機と捉え、地域の課題を集約し、その課題に取り組む県内外企業をマッチングさせることで、市町村と県内外企業との多様なオープンイノベーションを推進します。参加企業は、地域の課題を解決する新しいサービスの開発等や実証プロジェクトの構築を実施いただき、最終的には長野県内での新産業の創出、雇用の増加、付加価値の高い先進的ビジネスを創出し、地域を元気にする新しい企業立地促進のモデルを目指すものとなります。

詳しくは下記をご確認ください。
https://challenge-nagano.com/

Q.白馬村で活用されている、アプリの特徴を教えてください。

「白馬ナイトデマンドタクシー」には、SWAT Mobility Japan株式会社の運行アプリが用いられています。
こちらをご覧ください。

https://ligare.news/story/biprogy-1205/

※SWAT Mobility Japan株式会社及び、アプリについては、次回記事(2月中旬公開予定)にてご紹介いたします。

Q)白馬村では、MaaSや白馬Doなどを介した人流データの活用はされていますか?
例えば、インバウンド観光で、将来的な展開が期待できるニーズの予測や、それに応じた施設やサービスの提供など。

→人流データまでは、まだ活用ができていません。

白馬村のナイトデマンドタクシーの実用化の経緯は、「チャレンジナガノ!」の活用から始まったことがわかりました。
では、そもそも白馬村では、どのような観光ビジョンのもとに、観光への取り組みが行われてきたのでしょうか。


白馬村観光地経営計画は『恵まれた自然、山と雪が育む生活・文化を未来に残すマウンテンリゾート・Hakuba』から『世界水準のオールシーズン型マウンテンリゾート』へ。10年のビジョンは後期計画に移行

白馬村は、観光地として目指すべき姿や進むべき方向性についてを、白馬村観光地経営計画という形で、10年のスパンで定めています。

実施すべき施策・プロジェクトを明示し、そして着実に実行していくための体制・方策がまとめられています。
(平成28(2016年)度から平成37年(2025年)度の10ヶ年の計画)

資料:白馬村観光地経営計画(概要版)

世界や日本の状況の変化を受けて、計画のプロットは、『恵まれた自然、山と雪が育む生活・文化を未来に残すマウンテンリゾート・Hakuba』から『世界水準のオールシーズン型マウンテンリゾート』へと、白馬村ならではの観光資源を活かした、より積極的な観光戦略に移行しています。

基本方針に盛り込まれた内容を確認すると、
「スキー目的+グリーンシーズン周遊」型から「オールシーズン×滞在」型への転換を図る、という項目が記されており、白馬村の観光への取り組みが、シーズンを限定せずオールシーズンを対象とし、日帰りや短期宿泊から、滞在を意識したより積極的な観光促進に方向づけられています。

そして、白馬村観光地経営計画は、初期の計画から時代の流れに応じ調整を施し、後期計画に移行しました。

資料:白馬村観光地経営計画(中期~後期)

計画がスタートする2016年の白馬村を取り巻く当時の策定背景と、計画推進に向けた関係者の役割についての明示された内容を見てみましょう。

『白馬村観光地経営計画』より(平成283月発行)
1.策定の背景と位置づけ
白馬村は、白馬岳をはじめとする北アルプス白馬連峰という象徴的かつ魅力的な山岳に抱かれ、登山やスキーのフィールドとして圧倒的な資源性を有しているものの、観光客数の減少傾向が続いていることやオーストラリアを中心とする海外からのスキー客が増加していることなど、取り巻く環境の変化は著しく、その将来を楽観視できない状況です。
こうした変化の中にあっては、ハード面での基盤づくり、ソフト面での魅力づくりや受入体制づくりにとどまらず、それらを刻々と移り変わる社会環境の中で持続的・継続的に活かしていくための地域経営的な視点が求められています。
そこで、「観光地を経営する」視点を意識しながら、
経営に資する資源を捉えその状況を把握した上で、
白馬村が観光地として目指すべき姿や進むべき道、実施すべき施策・プロジェクトなどを示すとともに、
これらを確実に実行し、必要な改善を施しながら継続していくための体制や方策も同時に提示することとして、計画名称を『白馬村観光地経営計画』としました。
『白馬村観光地経営計画』策定の背景と位置づけより(平成283月)

4.計画推進に向けた関係者の役割
当計画は策定主体の白馬村にとどまらず、観光推進組織、観光事業者、その他関連事業者や団体、住民や住民団体も含
めた多様な主体によるオール白馬体制のもと、適切な役割分担のもとに推進します。
白馬村役場の役割
観光関連団体や民間事業者と連携し、観光地域づくりに積極的に取り組みます。
地域住民と連携し、村内各地域の取組を支援します。
観光課を中心に各課が連携し、観光の基盤整備を推進します。
国や長野県との連携・調整を図ります。
観光関連組織、団体の役割
白馬村全域のマーケティングを実施し、観光事業者に情報提供します。(白馬村観光局)
隣接市町村等と連携し、広域的なマーケティングに取り組みます。(同上)
観光まちづくりの中心的な役割を担います。(各地区観光協会)
地域の魅力を来訪者に対して的確に情報発信します。(同上)
観光事業者の役割
経営努力に努め、白馬村の魅力向上に資する質の高いサービスを提供します。
観光関連団体と連携し、観光まちづくりに積極的に参画します。
関連事業者・団体の役割
それぞれの立場から観光まちづくりに参画します。
観光事業者等と連携して、新たな観光の魅力や仕組みづくりに貢献します。
教育機関の役割
次世代の観光を担う人材を育成します。
観光事業者等と連携してノウハウの蓄積・向上に貢献します。
住民・住民団体の役割
白馬村の基幹産業である観光に関心を持ち、観光まちづくりに積極的に参画します。
白馬村を訪れる観光客に対しておもてなしの心を持って接します。
自分たちの暮らす白馬村の魅力を発見・再認識・共有し、次の世代へ伝えます。
同様に白馬村の魅力を村外等で積極的に情報発信します。

産官学民の共創事業体「チャレンジ白馬」によるナイトデマンドタクシー活用のアプリ「白馬Do」は、そもそも白馬村全体としての観光戦略が進められてきた経緯から生まれたということが理解できます。
実証実験の利用者増や成功は、多くの場合、周知徹底と利用促進に取り組む地域の連携がカギを握るといっても過言ではありませんが、その点からも、白馬村は、プロジェクトを優位に進める体制が整っていたように見受けられます。
また、アプリの機能を見ても、タクシー手配に加え、レストラン予約サービス(TableCheck)と連動することは、ユーザー側の利便性を上げることはもちろん、利用促進に繋がる環境が確保されている、という見方も出来ます。

加盟店という多数の事業者が、ナイトデマンドタクシーについての認識はもちろん、レストラン予約における、サービスの提供についての周知が出来ていることや、ユーザーへの利用促進の窓口にもなることは強みです。
さらに白馬村には、外国人向けの観光情報サイトやSNSのコミュニティが充実しています。
Facebook
ぺージやグループでは、海外からの白馬村長期滞在者を中心に、天候やゲレンデ情報、アクティビティやホットなスポットなど、白馬村についての情報を共有し、日々アクティブにぺージが動いているようです。
産官学民が一体となってアプリの開発に取り組み、サービスの向上や周知の努力を重ね、実用化に向けて取り組んだこと、そして、白馬村に暮らす人たちの情報共有のネットワークが充実していることからも、白馬村でのナイトデマンドタクシー実用化には、優位に働いたのではないでしょうか。

なお、白馬村のナイトデマンドタクシー実用化においては、MaaSアプリ提供のSWAT Mobility Japan株式会社による、混雑時の予測やアルゴリズムを用いた技術面での下支えが、大きく貢献しています。
SWAT Mobility Japan
株式会社のMaaSアプリに関する情報を、2月中旬に詳しくご紹介させていただきます。

次回記事では、白馬村周辺の春のインフォメーションと合わせて、

ー白馬ならではの魅力と独自性で実現目指す「世界水準のオールシーズン型マウンテンリゾート」ーVol.2 2023UNWTOベスト・ツーリズム選出と世界を惹きつける白馬村の戦略
と題してご案内する予定です。(20244月頃公開)

白馬村ナイトデマンドタクシー実用化についての補足
:日本ユニシスが全体的なマネジメントを行い、アルピコ交通が地元事業者として参画、SWAT Mobilityが効率的なバス運営のためのデータ分析やシミュレーション等を担当

取材協力:白馬村役場(観光課)


次回白馬村についての記事

ー白馬ならではの魅力と独自性で実現目指す「世界水準のオールシーズン型マウンテンリゾート」ーVol.2 2023UNWTOベスト・ツーリズム選出と世界を惹きつける白馬村の戦略

 

ビレッジ2023に選ばれた白馬村。UNWTOベスト・ツーリズムとは?

歴史、文化、芸術資源の継承・活用について、今後のビジョン

世界と差別化する白馬ならではのコンテンツ作り ー世界を惹きつける白馬村ー

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